VOL.176 「花は咲いて ただ揺れて」中村由利インタビュー
music freak magazine Flash Back GARNET CROW 10th MemoriesP.177
●○○From music freak magazine Vol.176
New Single「花は咲いて ただ揺れて」
2009.8.19 Release !!
●今回のシングルのリリースの発表と併せて、ライヴ・ツアーも含めた沢山の情報が解禁されましたが、GARNET CROWの活動もそこに重きを置いて準備していたのでしょうか?
中村由利(以下中村):そうですね。今年に入って、下半期の予定も決めていたので、そこに向かって着々と準備をしつつ、音源制作を行なっていたので、それらの情報がやっと解禁されたという感じです。
●「花は咲いて ただ揺れて」はその制作期間中に出来たものだったのですか?
中村:この曲とカップリングの「愛に似てる」、あともう1曲ぐらいが去年の同じ時期に出来上がっていて、その中で今回のシングルに1番フィットする曲を選んで「花は咲いて ただ揺れて」に決まりました。
●シングル曲に選んだ決め手とは?
中村:GARNET CROWらしい王道バラードという所に重点を置いて選びました。次にアルバムの発表を控えている事もあって、アルバム前のシングルとして"これぞ、GARNET CROWだ"みたいな冠的な扱いの曲を、シングルとしてリリースしたいなと思っていたんです。だから数あるバラード曲の中から聴きやすくて、1番ドラマティックで華やかさのある曲を選びました。
●王道バラードを選んだのは、時期的な事も大きかったと。
中村:このシングルには、アルバムに興味を持ってもらう為の導入部的な役割を託しました。この曲を聴いて"GARNET CROWの世界観てこんな感じなんだ"と感じて、もっと知りたいと思ってもらいたかったし、その為にはGARNET CROWの代名詞的になる様なバラードが良いなと思って。
●「花は咲いて ただ揺れて」を作っていく時にイメージしたものはあったのでしょうか?
中村:この曲は、去年バラードばかり書いていた時期に出来た曲の1つなんですけど、デモの段階から世界観がしっかりしていて、凛とした強さと儚さや弱さみたいなものが漂っていたので、それを広げて仕上げていったという感じです。1つの楽曲の中で強さと弱さが共存しているという点では、今までのGARNET CROWの作品の中でも珍しいものになるかもしれません。
●曲の展開の中にもギャップがありますよね。
中村:歌詞では花の儚さやもろさを感じてもらえると思うんですけど、歌を聴くとサビ部分での声の艶や張りで凛とした強さも感じられる様になっています。歌詞だけ読んだ時と、曲として聴いた時とでは言葉の感じ方が違ってくるので、それも面白いです。歌詞には花の一生が綴られていますが、それは人間の人生に置き換えて考える事が出来る言葉になっているので、すごく分かりやすいと思います。曲の構成もすごく分かりやすい王道のバラードなので、耳に入ってきやすいですし……。そういう意味では、聴いて下さる方にもストレスなく心に染み入る、安定感のある楽曲になりました。
●安定感を持たせるのに、それぞれの音のバランスにも気を付けたのでは?
中村:聴きやすさを重視すると、楽曲全体の軽さに繋がりかねないので、そうならない様にはしましたね。聴きやすさを残しつつ、いかに楽曲をドラマティックかつ壮大に導いていくかという所には気を遣いました。メロディを大切にするという意味でも、古井さんは"イントロに命掛けています"と言っていますし、おかもっち(岡本)も"すごく気持ちを込めてギターを弾きました"と言っているので、メンバーそれぞれのこだわりは音に出ているはずです。歌入れについても、いかに華やかでドラマティックな楽曲にするかという事と、曲の分かりやすさやキャッチーさもちゃんと表現する事とのバランスに気を付けて歌いました。
●制作は順調だったのですか?
中村:この曲はデモの段階からイメージが明確で、それを形にしていくだけの作業だったので、曲が出来上がるのも早かったですね。何度もレコーディングをして試行錯誤する事もなかったし、時間を掛けて熟成させて作っていくタイプのものでもなかったので、ストレスなく作れました。こういうバラードは好きなスタイルでもあるので、自分達も楽しみながらそれぞれの趣向を注ぎ込んだ1曲として、すごく思い入れのある自信作になりました。
●最近の楽曲は聴き手を意識したものや、新たな試みを盛り込んだものが多かったと思いますが、それを経て今回の「花は咲いて ただ揺れて」のようなバラードに立ち返るというのも、意味がある様な気がしました。
中村:GARNET CROWらしさが1番出る楽曲ってどんな曲だろうと思った時に、やっぱりこういうスタイルだろうなって……。自分達もこういうタイプの曲が得意なので、得意技を出したという感じです。
●AZUKIさんの歌詞を読んだ時はどう思いましたか?
中村:曲自体の強さはもちろん、美しさと儚さが感じられるものだったので、それを花に例えた歌詞が上がってきた時は"なるほど"と思いました。情景が思い浮かびやすい、すごく美しい言葉がちりばめられていて、とにかく美曲だなって……。ミックスした後も、すごく艶のある曲になったと思いました。花が水に濡れて滴が垂れる様なイメージというか……。色気がある曲になった気がします。
●歌詞の言葉が綺麗だと、歌う時に気持ちを込めやすかったりしましたか?
中村:イントロから曲の世界に入り込めたので、何も考えずにサウンドに乗せて歌う事が出来ました。サビ部分は気分が乗って、ついビブラートをかけそうになったのですが、そうすると色っぽくなり過ぎるので、そこはセーブして歌っています。とにかく分かりやすい展開なので、曲の世界観をそのまま歌に反映させれば良いだけに、気持良く歌えました。
●ちなみに中村さんが好きな歌詞の部分は?
中村:やはりサビですね。そこを読んだ時に、命短し、恋せよ乙女、みたいなイメージが浮かびました。花の一生は短いですけど、その中で大きく咲き誇ろうとしていて、でもいつかは枯れてしまうという儚さは、自分の人生とリンクしたというか……。人の命にも限りがあって、みんなその中で自分だけの花を咲かそうと一生懸命生きているというのが、すごく共感出来ました。その一方で"在るがまま"に生きて行きたいという"Let it be"の精神も感じる事が出来たので、ハッとさせられる事も多かったです。
●この歌詞に出てくる花は、中村さんはどんな花だと思いますか?
中村:薔薇ですね。シングルのジャケットやPVにも出てくるのですが、華やかで美しい象徴は薔薇がピッタリかなと。個人的にはベタですけど百合とか……(笑)。百合の中ではカサブランカも好きです。
●PVはどんな感じになっているのでしょうか?
中村:要所要所に薔薇の花が出てきて、最後にはポキッと折れるのですが、私はそのシーンお気に入りなので、是非見てみて下さい。
●「愛に似てる」は「花は咲いて ただ揺れて」とは違うタイプのバラードになっていますね。
中村:「花は咲いて ただ揺れて」は聴き浸るタイプの曲だと思うのですが、「愛に似てる」はグルーヴが立って聴こえるので、口ずさみやすい動きのあるミディアム・バラードになりました。コーラスで"愛に似てる"の部分を連呼したりしているので、タイトルも耳に入って来やすいと思います。もともとシングル候補の曲でもあるので、キャッチーさもしっかりある1曲になっています。
●コーラスは、最初から厚みを持たせて入れるようにしていたのですか?
中村:あのコーラスは、歌入れをしていくうちに思い付いて"ここでコーラス分厚く入れたら気持良いかも"と思ってコーラスを足していったので、歌いながらアイディアが浮かんでいった曲ですね。コーラスを入れる事で、曲の表情が変わっていったので、それも楽しかったです。
●AZUKIさんに歌詞をお願いする時に、伝えた事等はありましたか?
中村:この曲に関しては特に何も伝えなかったのですが、この曲を作った時に"恋"の曲も歌っていたので、歌詞の中に"愛"という言葉が入っていたのは、AZUKIさんの歌詞の中でも珍しいなと思いました。でも"愛"じゃなくて"愛に似てる"という言い切らないスタイルがAZUKIさんらしいというか……。そういうグレー・ゾーンを突くのがGARNET CROWらしいなと思いました。"愛"じゃなくて"愛に似てる"というのがポイントです(笑)
●中村さんは"愛に似てる"と聞いて、どういうものを想像しますか?
中村:愛じゃない何かなんですよね……(笑)。自分は愛だと思っていたけど、実は違っていたみたいな、心の奥に隠れている何かのような気がします。