GARNET CROW 岡本仁志 ギターインタビュー「Player’s rhapsody」
2003年2月music freak magazine収録:2026年7月9日
GARNET CROWのギターである岡本仁志のギタリストの面をフィーチャ−すべく、久々にプレイヤーが各楽器へのこだわりを語る企画「Player's rhapsody」が復活!! どこか飄々とした感のある彼であるが、ライヴでは意外(?!)にもアグレッシヴな表情を見せてオーディエンスを惹き付けていた。レコーディングやギターに関しては一体どんなこだわりがあるのか……。話しを聞いてみると、こだわりやポリシーといったものを持ちつつも、意外に柔軟な発想の持ち主。そのフレキシブルさがまた彼の魅力であると言える。岡本に、現在お気に入りのギター3本を紹介して貰った。
中学の時にピアノがかなり上手いやつがいて、曲も作っていたから、楽器っていいな、何か弾けるっていいかも、と思ったのがギターを始めたきっかけですね。中学からピアノを始めるのもなんですし、何かないかなって。最初はドラムがいいって思ってたんですけど、広いスペースがいるし、家でデカい音では叩けないから、ギターにしようって。ちょうど「イカ天」やら「ホコ天」でバンド・ブームの時期だったから、すんなり入れる時代背景でした。始めたのは中2からで、その時に買ったギターはもう手元にはないんですけど、YAMAHAのギターとかアンプが一通りのセットになっていた、当時で4、5万ぐらいのもの。とりあえず本屋に行けば教則本や流行りの曲のバンド・スコアがあったから、そういうのを片っ端から読んで行ってちょっとずつコピーして知識を貯えていきましたね。僕はギタリストにしては珍しく、ギターヒーローっていうのがいないんですよ。ギターを始めた頃もいろんな曲をコピーしていましたけど、誰か限定したギターヒーローっていうのはなかったです。ある意味その頃コピーしたバンドのギタリスト全てがギターヒーローになるんですかね。バンドの中でのギタリストっていうのは、例えばステージ最前でガンガン弾いてるのもありだし、クールに横向いて弾いててもカッコ良かったりもするわけで、そんな存在に魅力を感じますね。ソロ・アルバムの時は、変なエフェクター(音を加工するもの)を使って録った音をコンピューターでエディット(編集作業)する、音をどう料理するかって楽しみを覚えた時期だったので、弾いているよりも机に座って自分の音をいじっている方が圧倒的に長かったりしました。 今のレコーディングでは、今回紹介するES335と僕のテレキャスと、あとは古井さんのテレキャス(笑)を良く使っています。最近はその場で人のを借りて弾いてみたりしているので、俺はこれじゃないと弾かねえ!ってタイプではないですね。1本に絞るのも格好いいけど、フレキシブルにその時々の感覚でギターを変えています。気分転換にもなるし、それが音として形になって残るから、後で聴いた時に「これはあの時に借りたギターだな」とか考えると嬉しいし、ちょっと贅沢な感じがしますね。
(1)ES335(Gibson)
ソロ作品のジャケットで持っている赤いギターなんですけど、2年ぐらい前に購入しました。これはリイシューの現行モデル。普通良いギターは古くなると金額が高くなっていくんですけど、昔のギターの良い所を現在の技術で限り無く近くコピーした復刻版ですね。それまでメインにはテレキャスを使っていたんですけど、これは図太い感じの音で、弦は11(いちいち)の太い弦を使っています。ブリッジとボディーとの段差があるので最初は弾きにくかったんですけど、その分非常に振動が大きく感じて「お、鳴ってる」って感が身体で分かるのがすごく気持ちいいですね。それにこの335はボディにホールがあるので、そこで共鳴して楽器自体で結構音が鳴るんですよ。ホールがあるから見た目もクラシカルな渋さがあって、ボディも大きくて真っ赤だから、置いていて家具にもなる格好良さがあるし。やっぱりギタリストは見た目も大事ですから。レコーディングではしょっちゅう弾いてるんですけど、それほど背が高くない僕にデカいギターは見た目のバランスが悪いから、ステージではこのギターは登場していません(笑)。
(2)US FAT TELE(Fender TELECASTER)
(3)YD304(S.Yairi)
これは国産アコギなんですけど、70年代後半のちょっとしたオールド。だいたい僕と同い年ぐらいです。S.Yairiは、ヤイリ兄弟(S.Yairi&K.Yairi)がいて、2人とも世界からも良いと言われている我が道を行くギターをそれぞれ作っていたんですけど、一時期生産を止めてた時期があって、これはそのブランクに入る前に作られたS.Yairiのギター。当時のS.Yairiのコンセプトでもあったオールドマーチンのコピーで、ハカランダ材を使った結構貴重なものです。80年代になってハカランダの輸出入がワシントン条約で規制されてしまったので今となっては珍しいというわけです。楽器屋さんでたまたま弾いてみて、ちょいキズいってるけどいい音やなと思って買いました。ちょっと音に癖がありますね。昔の日本の国産ギターって一生懸命マーチンの研究して作っていたので、本当に丁寧に作られた良いギターが多いんです。オールドギターで「音が枯れてくる」って良く言われますけど、長年使ってボディの水気が飛ぶとそれだけ鳴りが良くなって、年数が経つほど鳴りがデカくなる。昔は比較的安いギターでもラッカーを丁寧に薄く塗ってたから、水が飛びやすくて、年とともに風格のある枯れた音が鳴るんです。実際このギターの音を録ると独特の癖が強調されてしまうので使用頻度は少ないです。
ギターに関するエピソードは……。思ったより丈夫って事かな。もう引退して家で眠っているギターなんですけど、昔バイクの前に乗せていて、すごい段差がある所でギターが足元から後ろにヒューンって宙を舞って飛んでいって地面にベタって落ちて。やってしまったぁー!って思ってケースを開けたら全くの無傷。薄っぺらいソフトケースだったのに無傷だったんですよ、あの時はびっくりしましたね。 家ではリスニングしてる音でもなんでも良いので、ボディを振動させて水分を飛ばすため、音のある部屋でスタンドに立ててます。やっぱりしょっちゅう触って弾いていますね。ギタリストが「ギターばっかり弾いて!」って言われるのはよくある事だと思うけど、僕の中でギターは「モノの世界での恋人」みたいなもんですかね。でも、ギターに名前を付けてる知り合いがいますけど、僕はそこまではしないです(笑)。