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GARNET CROW「メモリーズ」インタビュー(音楽ナタリー)

2011年12月6日音楽ナタリー収録:2026年7月9日

ナタリー PowerPush - GARNET CROW

かけがえのない思い出を表現 1年ぶりフルアルバム「メモリーズ」

1年ぶりとなるニューアルバム「メモリーズ」を12月7日にリリースするGARNET CROW。アルバムには、キャリアに裏打ちされた確固たるスタイルをベースとしながら、たっぷりの遊び心、果敢なチャレンジ精神、そして音楽への深い愛情を余すことなく注ぎ込んだ全11曲が収められる。果たしてそれらは、彼らの鮮やかな進化を感じさせるものとなった。

今回ナタリーではボーカルの中村由利とギターの岡本仁志の2人にインタビューを実施。制作にまつわるエピソードを語ってもらった。

取材・文 / もりひでゆき

貪欲にいろんなタイプの楽曲を作りたかった

——新作「メモリーズ」は、とにかく1曲1曲がものすごく濃いアルバムだなあという印象を受けました。

岡本そうですね。自分たちでも濃いなあって思います。特に前作から比べると1曲1曲が際立ってるというか、つわものぞろいというか。だからすごく聴き応えがあるし、ひょっとすると1回聴くだけじゃわかりにくいところがあるかもしれない。1回聴いて「おや?」と思ったら、ぜひ何度も聴いてほしいですね。聴くうちにどんどん味が出てくると思うので。

——「Smiley Nation」や「Misty Mystery」といった既発シングルで提示されていたGARNET CROWの新たな表情も、さまざまなスタイルでたっぷりと詰め込まれていますし。

中村今年はいろんなタイプの楽曲をやってみたいなっていう思いがあって、そういうチャレンジが2枚のシングルには表れていたと思うんですね。で、それらが受け入れてもらえるっていう手応えみたいなものをすごく感じることができたので、じゃあもっともっと自分たちの気になる音やフレーズやテイストをどんどん入れてみようって思ったんです。これはGARNET CROWっぽくないからやめておこう、みたいなことは一切考えずに、やりたいものを素直に作っていったというか。貪欲にいろんなタイプの楽曲を作って、いろんなカラーのGARNET CROWをいろんな目線で見てもらいたいなっていう思いが、今回のアルバムには詰まってますね。

——活動10年を経て、バンドとしての表現方法がどんどん自由になってきているんでしょうね。

中村最近ちょっとその気が出てきましたね(笑)。今までは、GARNET CROWはこうあるべきだからこういう曲を作らなきゃいけないとか、ちょっとコンサバティブな表現方法で固めてきたところもあったと思うんですよ。それがあったからこそいい意味でのパブリックイメージがついたし、そのイメージを幸いにも評価していただけたから、今があるわけで。ただ、次のステージに行くという意味でも、それだけではもう自分たちとして物足りなくなってきたのかなって思うんですよね。余裕が出てきて、もっと幅を広げようっていう気持ちになれた気がします。

——これまで築いてきた確固たるイメージは大事にしつつ、そこを壊すことの楽しさも知ったと。

中村そうそう。それも楽しいんですよね。どう化けるかわかんないから。もちろんダメだったらダメでいいので、とりあえずいろんなことをやってみる価値はあるのかなって。音楽に関してはボーダーレスで、自分たちがカッコいいと思う要素をどんどん取り入れるのは、ありかなっていう。昔よりフットワークは軽くなったと思います。

曲順は一発で決まった

——今回は本当にいろんなタイプの曲が入っていますが、それが絶妙な並びで配置されているので、1枚のアルバムとしてバランス良く聴けるのもステキだなと思いました。

中村今回は曲順を決めるとき、自分の頭の中だけでタイトルと音を思い浮かべて並べてみたんですよ。そしたら一発で決まりました。みんなも異論なし。「冴えてる、私!」と思って。
岡本実際、曲を並べるときってホントに迷うんですよね。これとこれはやっぱり入れ替えたほうがいいかなとかキリがないし。それが今回、頭の中だけで決められたっていうのは素晴らしい!

——1曲それぞれが色濃いものになっただけに、アルバムの中での役割や位置付けが明確だったのかもしれないですね。

中村ホントにそうだと思います。ここに置く以外ないなっていう曲が結構多くて。あんまりほかの選択肢がなかったっていうのはあると思いますね。それだけ1曲1曲のカラーと役割が大きい作品ができたのかなあと思います。
岡本「Blue Regret」で終わる感じもいいもんね。あんまりしんみりっていう終わり方じゃないんで、そこからまた1曲目に戻って聴いていただければと思います。

遊び心満点の「ロンリーナイト」

——収録曲で特にインパクトがあったのは「ロンリーナイト」で。強力なダンスチューンですよね。

中村これはもう「Misty Mystery」でデジタルなロックを割と受け入れてもらうことができたので、じゃあさらに踏み込んでもっとダンスナンバーにしちゃったらどうだろうっていう感じで。調子に乗ってジュリアナみたいな「フー!」っていう声も入れたりしたんですけど、さすがにそれはリーダーに却下されました(笑)。でもそれぐらい自分たちとしてもノリノリに楽しんで作ることができたんです。今風の要素を取り入れつつ、ちゃんと自分たちらしく消化できたかなって。

——とことん振り切れましたね。

中村やるならとことんやろうっていうことで。これを聴いたら自分の部屋がクラブのフロアになるような、そんな曲になりましたよね。ミラーボールが見えるような……ってイメージが古いですかね?(笑)

——いやいや大丈夫です(笑)。あとオートチューンを使っているのも新鮮でした。

中村メインの歌にエフェクトをかけたことが今までなかったんで、かなり珍しい曲になったと思いますね。この曲はミックスに関しても、リミックスみたいな感覚でお願いしたんですよ。歌も素材のひとつ、楽器のひとつとしてとらえて存分に遊んでくださいって。声を切り刻んでもらっても全然大丈夫ですよ、みたいな。なのでデジタルならではの良さというか、そういう面白さやパワーが出たんじゃないかなって思いますね。
岡本この曲に関してはギターも切り刻むこと前提で録ったんですよ。スタジオだと時間がかかるので、自宅作業で弾いたトラックが入ってたりもします。その辺は臨機応変に。今回はほかの曲も、全体的に難しい曲が多かったんですよ。いつもは何も考えなくてもスルッと弾けちゃう曲がいくつかあるんですけど、今回のアルバムはそんなに簡単な曲はなかったなって、改めて振り返るとそう感じますね。

——その分、やりがいもあったでしょうし、できあがったものに対しての愛情もより深いものになるんじゃないですか?

岡本うん。プレイバックで聴くときはすごくうれしいですよね。ただライブに向けてはまたしんどくなるんですけど(笑)。
中村デビュー直後は制作およびリリースのみに専念していたが、2002年10月に1stツアーを行い、その後活発なライブ活動を開始。2010年にはデビュー 10周年を迎え、コンプリートベストアルバム「THE BEST History of GARNET CROW at the crest...」、シングル「Over Drive」を発表。さらに12月に、バンドの新しい一面を提示する最新アルバム「parallel universe」を発売した。
中村2011年に入ってからも精力的なリリースが続き、6月にシングル「Smiley Nation」とDVD「GARNET CROW livescope 2009 ~夜明けのSoul~」「GARNET CROW livescope 2010+ ~welcome to the parallel universe!~」、8月にシングル「Misty Mystery」を発表。12月に約1年ぶりとなるニューアルバム「メモリーズ」を発売する。

ナタリー PowerPush - GARNET CROW

かけがえのない思い出を表現 1年ぶりフルアルバム「メモリーズ」

すごく個性的な仕上がりの「創世記 I」

——岡本さんは今回のアルバムで特に好きな曲ってどれですか?

岡本どれも制作は面白かったんですけど、個人的に好きなのは「JUDY」と「創世記 I」、あと「Smiley Nation」が好きですね。

——ああ「創世記 I」いいですよねえ。僕も好きです。

岡本タイトルだけ見るとなんか難しそうな曲なのかなあと思いきや、全然違ってて。
中村私、最初タイトルの「I」っていうのはミスプリントだと思ったんですよ。で、AZUKI(七)さんにスタジオで訊いたら「いやここまでがタイトルやし」って言われて(笑)。
岡本じゃ「II」はいつできんの?みたいな(笑)。
中村あはは(笑)。実は旧約聖書の「創世記」では「I」「II」「III」って区分があるんですよね。で、「創世記 I」は天地創造、最初の1週間について書いてあるっていう。この曲のタイトルはそこからきてるんです。

——でも歌詞はすごく日常に寄り添った内容ですよね。

中村そうそう。だからどう歌おうか迷いましたね。どんなテンションで歌っていいかわからなくて、普通に声を乗せただけではちょっとピンとこなかったというか。なので、例えばAメロはパッと聴いたら何言ってるかわからないような、日本語っぽくない日本語で歌ってみたり。あと、この曲はBメロがなくて。Aメロからいきなりメインディッシュのサビに飛ぶっていうチャレンジも自分としてはできたんですよね。結果、すごく個性的な曲になったから目立つかなとは思うんですけど。

——ちなみに、「創世記 I」と、その前の「静寂のconcerto」からは2011年という激動の1年を踏まえたメッセージを感じてグッときました。その辺りは意識的なものなのでしょうか?

中村その2曲はどっちも今年の下半期に入ってから作ったものなので、やっぱりいろんなことがあったという経験を踏まえての創作ではありましたね。「静寂のconcerto」については、ストリングスがわーっと入ってきてすごくロマンチックな感じなんですけど、そういう壮大で美しい曲を改めて制作してみたかったっていうのもあって。美しいものは美しいままで残したいっていう素直な気持ちなんですよ。みんなを感動させてやろうとか、こう作れば絶対納得してくれるだろうなとか、そういうことを考えたんじゃなく、自分たちがいいと感じたものをそのまま表現したんです。で、それがいろんなことがあって心が疲れている方々にも届けばいいなっていう。だから、この曲たちをすごくいいって言ってくださる方がいるのであれば、それはきっと今年ならではのような気もするし。

夏目ひらら先生とのコラボが実現した「JUDY」

——また、岡本さんがお気に入りの「JUDY」はアルバムのリード曲としてビデオクリップも制作されていますね。これが面白い内容になっているようで。

中村マンガ家の夏目ひらら先生に描いていただいたマンガと実写を組み合わせたストーリー仕立てなんですよ。マンガはマンガでストーリーがちゃんとあって、そこに「JUDY」の曲のイメージが絡まって展開する映像になってるんです。で、実はこのストーリーは3部作になってて、ビデオクリップではその真ん中の部分が表現されてるんですよ。前編や後編もなんらかのかたちで公開すると思うので、それを観てもらうとなるほどって思っていただける仕組みです。気になる方はチェックしていただければと。

——初回限定盤には夏目先生描き下ろしのジャケットも封入されます。これがまたいい感じですよね。メンバーがイラストになっていて。

中村夏目先生はビデオクリップの撮影現場にも来ていただいて、ずっとスケッチしてくださってました。メンバーのことをむちゃくちゃかわいく描いてくださったんで、うれしいですね。もう5割増しぐらいな(笑)。私たちが学校に行ってるイメージなんですけど。
岡本古井(弘人)さんはコート着てますけどね。先生かな、みたいな(笑)。

——確かに明らかに生徒ではない貫禄が出てます。生徒だとしたら猛烈な校則違反(笑)。

中村アハハ。何がって全部が違反だね、彼は(笑)。でもホントに楽しいコラボができましたね。マンガになることによってビジュアルがしっかりするからイマジネーションも膨らむし、曲にも入ってきやすいと思うんですよ。

——「JUDY」という曲自体、GARNET CROWの王道とも言える切ないバラードですしね。

中村わかりやすいGARNET CROWらしさが出てますね。イントロはギターソロからキャッチーに入って、静かなAメロ、ちょっと展開したBメロがあって、サビで広がるっていう王道のスタイルというか。自分たちの持ち味が存分に出てるのではないかと。
岡本シングルになってもいいつもりで作ってたもんね。

過去の思い出とか経験はかけがえのない大切なもの

——では最後に、アルバムタイトルを「メモリーズ」にした理由を伺えますか?

中村ちょっとレトロなバンドサウンドで胸キュンソングになった「メモリーズ」という曲ができたときに、どこか懐かしい気持ちになったんですよ。そこで、過去の思い出とか経験っていうのはかけがえのない大切なものだし、それを大事にしていきたいなって改めて思ったんです。そして、今年はほんとにいろんなことが起こったから、皆さんにもそうやって感じていただけたらなと思って、この言葉をアルバムのタイトルにしました。このアルバムを聴いて、皆さんそれぞれの大切なものを心に思い浮かべてもらえたらうれしいですね。同時に、皆さんの人生に寄り添うようにGARNET CROWの楽曲も存在していけたらいいなっていう思いも込めて。

——年末には恒例のカウントダウンライブも決定してます。今年も盛り上がりそうですね。

中村実はフルメンバーのバンドスタイルでやるライブって、このカウントダウンが今年最初で最後なんですよ。この1年何やってたんだろうっていう。いやもちろん何もやってなかったわけじゃないんですけど(笑)。
岡本ぴったり1年ぶりだもんね。
中村365日ぶりのライブってなんかいいね。アルバムの中でも「live」とかは古井さんがライブを意識して作ってくれたし、ほかにもそういう曲は少なからずあるんで、ここでハジけようと思ってます。お祭り的要素の大きい、カウントダウンならではのライブをやりたいな。365日ぶりの!(笑)
中村デビュー直後は制作およびリリースのみに専念していたが、2002年10月に1stツアーを行い、その後活発なライブ活動を開始。2010年にはデビュー 10周年を迎え、コンプリートベストアルバム「THE BEST History of GARNET CROW at the crest...」、シングル「Over Drive」を発表。さらに12月に、バンドの新しい一面を提示する最新アルバム「parallel universe」を発売した。
中村2011年に入ってからも精力的なリリースが続き、6月にシングル「Smiley Nation」とDVD「GARNET CROW livescope 2009 ~夜明けのSoul~」「GARNET CROW livescope 2010+ ~welcome to the parallel universe!~」、8月にシングル「Misty Mystery」を発表。12月に約1年ぶりとなるニューアルバム「メモリーズ」を発売する。