VOL.165 LIVE REPORT「GARNET CROW livescope 2008 〜Are you ready to lock on?!〜」2008.8.16 東京JCBホール
music freak magazine Flash Back GARNET CROW 10th MemoriesP.168
●○○From music freak magazine Vol.165
GARNET CROW
GARNET CROW livescope 2008
~Are you ready to lock on ?!~
2008.8.16@東京JCBホール
GARNET CROWにとって初の夏ライヴが敢行。先月号のインタビューで"夏は前例がないので、未知の世界です"と中村由利が言っていた通り、メンバーはもちろん、観客もどんな展開になるのか予想が付かないステージだっただけに、思い出深い公演になったのではないだろうか。本誌では8月16日に東京JCBホールで行なわれた"GARNET CROW livescope 2008 ~Are you ready to lock on ?!~"初日公演の模様をレポートする。
夏真っ盛りの8月16日、じんわりと汗がにじみ出す様な暑さに見舞われた東京で、"GARNET CROW livescope 2008 ~Are you ready to lock on ?!~"が開催。会場のJCBホールにはこの日を待ち望んでいた人々が詰め掛け、みるみるうちに客席は観客で埋め尽くされた。今回の会場は3階席やアリーナ席後方からもステージがしっかり見える作りになっている事もあり、予想以上にステージを近く感じる事が出来る座席に驚く観客も多く見受けられた。GARNET CROWにとって初の夏ライヴに寄せる期待感が充満した会場を見渡すと、ステージ中央上部に掲げられた白いCrowのオブジェが目に飛び込んできた。20羽のmini crowがそのオブジェを放射状に囲んだセットはインパクト大。その下にあるスクリーンには今回のツアーロゴが映し出され、照準を形取ったデザインと場内BGMのジャズ・ナンバーの相性もピッタリだ。開演前から"Lock on"してしまう様な光景が広がる中、いよいよ暗転。幻想的な映像がスクリーンに映し出され、サポート・メンバーがステージに現れると同時に拍手が起こり、その拍手はGARNET CROWメンバーが登場すると更に大きくなった。
最初に披露されたのは、アルバム『LOCKS』のオープニング・ナンバーでもある「最後の離島」。スクリーンにはアルバムのインナーに登場するイラストが映し出され、歓客の視線が一斉にステージに向けられる中、温かみのあるサウンドによって会場が一気にGARNET CROWの音空間に変わっていく。続けて披露された「夏の幻」は、より清々しさが感じられるアレンジになっており、この季節にライヴで聴くと格別。タンバリンを持って歌う中村の張りのある声が会場の隅々に広がっていく中、他のメンバーが客席を見ながら楽しそうに演奏している姿が印象的だった。"初めての夏ライヴを楽しみにしてきました。皆も楽しんで下さい!!"と中村が言い放った後、「もう一度 笑って」で更に爽やかな風を吹き込み、岡本のギター・ソロが堪能出来る「call my name」や海の底を彷彿させるライティングとAZUKIの凛としたピアノ・ソロが見事にマッチしていた「水のない晴れた海へ」など、彼らの深みのあるサウンドをじっくり聴かせた後は、「wish★」でダンスホールな雰囲気を会場全体で満喫し、「Endless Desire」でしっかりキメるという、メリハリの利いたラインナップで観客を引き付けたまま中盤へ……。
"少し早いですが、恒例のブレイク・タイム♪"という中村の言葉で始まったのは、岡本によるアコースティック・コーナー。GARNET CROWのライヴではすっかり定着し、歓客にとってもお楽しみの時間でもあるが、今回は古井がアコギ&コーラスで加わり「忘れ咲き」が披露されると、客席から驚嘆の声が上がった。少し照れた様子で歌う岡本の柔らかな歌声が会場に響き、中村のコーラスが華を添える。すっかり落ち着いた所で本編に戻り「The first cry」へ……。この曲は『LOCKS』収録曲の中でメンバーが特に気に入っているナンバーであり、ファンの間でも支持されている1曲でもある。ここではストリングスとサックスが加わり、圧倒的な存在感を放つ仕上がりに……。スクリーンに映し出される映像も戦車や異国の子供達の姿をフィーチャーしていたりと、楽曲の持つメッセージ性が強調された演出に観客は釘付けになった。続いてファンの中でも人気が高いカップリング曲「廻り道」が披露された後、最新シングル「夢のひとつ」が登場。ライヴが行なわれた日は、このシングルの発売直後という事もあり、観客にとっては嬉しい1曲になったに違いない。1音1音をしっかり届けようとする演奏とヴォーカルが曲の迫力を増幅させ、会場を包み込んでいく。
2度目のブレイク・タイムとして設けられたのは、ダンシング・コーナー。「Mr. Holiday」のサビ部分に付けた振りをみんなで一緒に踊るという演出だった。今まで手を振る等の簡単な振りが付いた曲はあったものの、ここまで動いたりジャンプしたりする振りはなかっただけに、中村のダンス指導による練習タイムをしっかり確保。中村が指導している時は彼女の代わりに岡本がヴォーカルを担当し、古井やAZUKIも一緒に踊る。何度か練習するうちに客席のダンスも揃いだし、予想以上に観客の飲み込みの早さにメンバーが驚く一幕も……。準備万端で臨んだ本番では見事にダンスも揃い、一緒にジャンプする箇所では会場の一体感を肌で感じる事になった。ステージと客席の距離がぐっと縮まり、熱気も上昇してきた所で「涙のイエスタデー(album ver.)」に突入。ストリングスがドラマティックな展開を盛り上げ、中村の突き抜けたヴォーカルが心地良く響く。続けて「まぼろし」を披露した後、「Holy ground」で客席からメンバーへのサプライズ演出が敢行。この曲が始まると同時に、予め観客に配られていたピンクのサイリウムを発光させたのだ。ピンクに彩られた会場を見渡すメンバーの穏やかな表情が忘れられない。会場の結束が更に強まる中、ステージは終盤に向けて加速し始める。"私達は幸せの赤い鳥として、これからもみなさんにさらに良い曲を届けていきたいと思います"という中村の言葉の後に演奏されたのは、アルバム『LOCKS』のラストを飾っている「Love is a Bird」。"みんなで歌って下さい!!"という中村の言葉に応える観客が手を左右に振る光景はとても美しく、メンバーと観客の繋がりを強く感じる1シーンとなった。「夢みたあとで」「世界はまわると言うけれど」で一旦クール・ダウンした後、本編ラストに向けて一気に駆け抜ける展開が用意。「二人のロケット」が始まった途端、会場の熱気が再び上昇した。ピン・スポットに照らされた古井とAZUKIが軽やかに旋律を弾き、ハンド・マイクを手に中村はステージの左右を移動しながら楽しそうに歌う。途中で古井や岡本が客席に手拍子を煽れば、観客もすぐに反応し大きく手を叩いて応戦。メンバーと観客の息の合ったやりとりは「君の思い描いた夢 集メルHEAVEN」でも続き、「Argentina」では赤いライトに照らされたステージが情熱的な楽曲の世界を引き立たせ、客席は待っていましたとばかりに更にヒート・アップ。その勢いは本編ラストの「今宵エデンの片隅で」まで途切れる事なく、歓声と拍手を受けてステージを後にしたメンバーに向けて、すぐにGARNETコールが起こった。
アンコールに応えて登場したメンバーは本編より少しラフな衣装。1曲目に披露した「向日葵の色」は、"あなたを見つめていたい"という向日葵の花言葉になぞらえ、観客に送ろうと選んだ曲というエピソードが印象深かった。バンド・メンバー紹介を交えた「ふたり」を経て、最後のナンバー「スパイラル」へ……。ラストに相応しく、自分達が持っているパワーを客席にぶつけるメンバー。"もう1回歌えますか?"という中村の威勢の良い問い掛けに観客が応じた結果、この日はラストのサビ部分が3回も繰り返される展開になった。ステージに向けられた多くの拳からは、今日のライヴをしっかり記憶に刻み付けようとしている観客の想いが感じられ、そこで生まれた熱気はメンバーがステージを去った後もしっかり残っていた。
自分達の音楽に関して細部に渡ってこだわりを持ち、より良い作品を作っていく事を第1に考えているGARNET CROW。ライヴに関してもこれまでの活動を通して、観客とのより良い距離感が築き上げられている気がする。最後のMCで"真心を込めて歌を届けていきます"と言った中村の言葉の後に起こった客席からの温かい拍手が、GARNET CROWとリスナーとの関係性を物語っていたのではないだろうか。彼らにとって初めての夏ライヴが、これまで以上に快活で存在感のあるステージだった事は確かだ。
(TEXT BY YUKI TACHIBANA)
■OFFICIAL WEBSITE www.garnetcrow.com