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Es VOL.46 『REQUEST BEST』全曲解説(2)

music freak magazine & Es Flash Back GARNET CROW Final MemoriesP.101

●○◦ From music freak Es Vol.46

9.「英雄」
9thアルバム『メモリーズ』に収録。このアルバムは当時、様々なアプローチの楽曲を収録した作品として彼らの新境地を開拓した作品であったが、このメランコリックな1曲で特徴的なのは全編に渡ってメロディがハモっているところ。生々しいバンド・サウンドと共にここまでダブルで歌われている楽曲は珍しい。また、勇壮かつ文学的な作詞世界も「海をゆく獅子」に連なる流れを感じさせる。ドラマティックな楽曲の創出は2010年の精力的なライヴ活動の影響が反映されているのでは?

10.「Maizy」
ラスト・アルバム『Terminus』に収録。強く優しき中村のヴォーカルが美しいミディアム・バラード。リリカルなピアノとアコースティック・ギターの旋律が美しい前半部からドラマティックな旋律が狂おしいサビ・メロへと盛り上がっていくさまはGARNET CROWサウンドの様式美、生き生きとしたその表現力が力強い。タイトルの「Maizy」は人名だと思われるが、フランスの地名でも「Maizy」があり、そういった欧風的イメージをこの一言から喚起させるのも一興。また、エンディングのはかなさは絶妙。

11.「wish★」
2002年4月24日リリースの2ndアルバム『SPARKLE ~筋書き通りのスカイブルー~』に収録。彼らの作品の中では比較的珍しいダンサブルでスピード感のあるナンバー。クラブ・テイストな古井アレンジ、シンセの音使いにも彼のモダンなセンスが発揮されている。英語を多用したAZUKIの歌詞フィーリングも斬新。曲後半部では珍しく中村のフェイクも登場、ライヴでも盛り上がるナンバーとして認知されており、ファンとしても気になる1曲。

12.「スカイ・ブルー」
2ndアルバム『SPARKLE ~筋書き通りのスカイブルー~』に収録。ゆったりとしたAメロから徐々に盛り上げていく王道のスタイルを踏襲し、最後まで筋書きの読めない展開&構成はお見事。チェロの響きを効果的に使用したり、ファルセットのコーラス導入など、高貴な雰囲気を漂わせたサウンドに、かつGARNET CROW初期特有の独特のリリシズムをともなった歌詞が寄り添い、爽やかな余韻を残しながら味わい深く仕上げている。

13.「The Crack-up」
2010年12月8日リリースの8thアルバム『parallel universe』に収録。明るい印象で始まるイントロから一転、歌メロのマイナー調とのコントラストも鮮やかなこのアレンジの斬新さ! アルバム・タイトルに呼応したかのような世界観、かつ啓示的な歌詞に加えて力強い中村のヴォーカルが切迫感を感じさせる。世界はその形を変えてゆけるのか? 変わってしまった今となってはまるで予言であったかのような神秘を感じさせる作品である。

14.「夕立の庭」
2002年8月14日リリースの11thシングル「スパイラル」カップリング曲として収録。どちらかというと軽いタッチの佳曲的なナンバーではあるが、普通の日常生活と心象風景を淡々と歌った歌詞がファン心理をくすぐったのだろう。こういうほのぼの感のあるガーネット・ナンバーも代えがたき魅力を放っている。

15.「忘れ咲き」
2004年11月17日リリースの17thシングル曲。まさにノスタルジー(郷愁)を誘うナンバーだ。ピアノの弾き語りだけで聴きたくなるようなメロディとか、どうにも胸がキュンとなる愛だとか恋だとかの歌詞だとか、何とも言えない涙腺を刺激する要素がこの曲にはたっぷり。青春だけでもないし、切なさだけでもない。この曲のメロディ&歌詞は特に、数々の恋愛を体験して再びピュアに返り咲く、そんな大人達に捧げたい。

16.「夏の幻(secret arrange ver.)」
2000年10月25日リリースの5thシングル曲の別ヴァージョン。1stアルバム『first soundscope ~水のない晴れた海へ~』に収録されていた。イントロ部分から雰囲気が違うこちらのナンバー、オリジナル・ヴァージョンと最も違うのは、やはりリズム・トラック。シングル・ヴァージョンの方がリズミックにダンサブルに強調されているのに対し、こちらのヴァージョンではより生音系の作りになっており、その分古井のオルガン系サウンドが際だって聴こえてくる。こういったシークレット・アレンジを聴くと、GARNET CROWでは制作過程においてこのように様々なアレンジやヴァージョンが試されて最終形に向かっていく様子がうかがい知れる。まだまだ別の楽曲でも秘密のヴァージョンが存在しているのだろうか? そういった事も気になってくる。

■DISC-2

1.「君 連れ去る時の訪れを」
2004年12月8日リリースの4thアルバム『I'm waiting 4 you』のラスト・トラックに収録。DISC-2のオープニング・トラックに収録されると曲の雰囲気もガラッと変わって聴こえてくるから不思議だ。これはもう歌詞を何度でも見直して聴きたい。「君 連れ去る時の訪れを」……切なくも希望が消え去らないこのフレーズ、このナンバーをモチーフにゆったりとメロディが心に染み入ってくる。今だからこそ再評価されて然るべき楽曲なのかもしれない。

2.「Over Drive」
2010年4月14日リリースの31stシングル曲。これはまたポップなナンバー。どちらかというとGARNET CROWの場合、ダークな世界観を表現するのがお家芸のような印象を持っていたが、この曲に限って言えば徹頭徹尾、直球勝負のメジャー調ナンバーである。まるでザザンやユーミンの世界観を表現したようなサウンド、GARNET CROW唯一の正統派サマー・ソングかもしれない。

3.「涙のイエスタデー」
2007年7月4日リリースの25thシングル曲。ダンサブルでブラック・フィーリングのあるイントロからストリングスを導入したロック・テイスト溢れる導入部へ、そして転調した歌入りでは軽やかなフレーズが耳を引くという凝ったアレンジが施されたこのナンバー、これもGARNET CROWならではのサマー・ソング? 4つ打ち系リズムの軽快感、分かりやすいポップなサビ・メロ、「涙のイエスタデー」と表記するノスタルジックさ、さすがに13年間活動し続けた事はある、様々なタイプの楽曲にチャレンジし続けていた彼らの姿が浮かび上がってくる。

4.「君という光」
2003年9月10日リリースの14thシングル曲。ガーネットの曲には、空、海、様々な情景や動物が現れる歌詞も多いが、この曲では冒頭からなんと海月(クラゲ)が登場。しかし、そのフレーズが表すイメージにぴったりの揺らぎ感がこの作品には漂っている。力強い希望の歌であり、秀逸なミディアム・バラード、神々しいイメージも感じさせるが、それでもどこか親密な空気感を醸し出すのは、この曲自体の持つ"無欲さ"の賜(たまもの)かもしれない。

5.「Rhythm」
2001年1月31日リリースの1stアルバム『first soundscope ~水のない晴れた海へ~』に収録。この勢いのあるロック・ナンバーは、グルーヴ感あるリズム・トラックを聴いているだけでも随所に職人のこだわりを感じさせて、さすが1stアルバムにして熟練のプロ集団が作り出したサウンドだという事を実感させてくれる。岡本のワイルド系なギター・サウンドもいいし、中村の力強いヴォーカルもしっかりサウンドに馴染んでいる。シングル曲としてリリースされてもおかしくない程のクオリティ。GARNET CROWはデビュー当初からバラエティ豊かに楽曲を表現していたのだな。

6.「flying」
2000年11月29日リリースの6thシングル曲。初々しい勢いが心地よいなぁ、と思っていたら、なんとこの曲、実質的にはGARNET CROWとして初めて制作に取り組んだ曲だそう。それを6枚目のシングル曲としてリリースするあたり、そういった事実はデビューに際していかに GARNET CROWが入念に楽曲&サウンド作りを行っていたかをうかがわせる。確かにイントロからエンディングまでよく練られたアレンジ、サビ・メロの高音部の中村の流れるような旋律は聴き物だし、メロディもスタイルも素晴らしい。ライヴでも非常に人気の高い定番曲として名高いのもうなづける。

7.「Mysterious Eyes」
2000年3月29日リリース、GARNET CROWの記念すべきデビュー・シングル曲としてリリース。当時、「君の家に着くまでずっと走ってゆく」とダブル・シングル・デビューという変則的な形で現れたが、多分どちらも良い曲だったのでそのまま2曲とも同時にリリースしてしまったのだろう。やはり、今聴いても趣きある名曲である。初々しい爽やかさには初期GARNET CROWの魅力の全てが詰まっている。なおかつデビューから13年経てもなおこの音楽性のブレの無さ、これこそが彼らの音楽の誠実さを表しているのだ。

8.「As the Dew」
2010年2月10日にリリースされた2枚目のベスト・アルバム『THE BEST History of GARNET CROW at the crest...』に新曲として収録。これまたアーバンなアレンジのナンバーだ。ピアノの軽やかなフレーズは、古井のAOR好きを彷彿とさせる。情熱的な岡本のギター・ソロ(短いっ!)もなかなか。全体的に抑制を効かせた中村のヴォーカルとクールなAZUKIの歌詞はハードボイルドな趣もあり、ストーリーテラーなガーネット・サウンドを堪能出来る。

9.「世界はまわると言うけれど」
2007年11月14日リリースの26thシングル曲。ゆったりとしたリズム、秋らしい優しい木漏れ日のようなナンバーだなぁ、なんて聴いていると歌詞の世界はそうでもない。かなり無気力、無感動、ビターな内容なのだ。ところがこのペシミスティックな世界観に力強い中村の歌い上げヴォーカルが結びつくと、どうしてこうも感動を誘うのか? 無感動を装った感動を誘うこの独特の世界観こそGARNET CROWの真骨頂が隠されている。この曲で救済されたファンも多いのでは……?

10.「風の中のオルゴール」
2012年9月26日リリースの34thラスト・シングル「Nostalgia」カップリング曲として収録。ノスタルジー溢れるマイナー調のイントロからけだるく歌われるヴォーカル、重い……、いやサビ・メロではいつものように転調してメジャーな展開になるのでは……と思っていたのだが、この曲はそうはならなかった。「風の中のオルゴール」と歌われる一節だけ抜け出す明るいフレーズはあるのだが、全体的なトーンは胸騒ぎがするくらい低い。やはりこの曲も“解散”という最後の呪縛から逃れられないでいるのだ。しかし、それでいい。諦めの感情も彼らの味方になって涙を誘っているのだから。

11.「Nora」
2009年5月20日リリースの29thシングル曲「Doing all right」のカップリング曲として収録。なんとも言えないほのぼのとした歌詞が良い。冒頭から“夕焼け小焼け~”で始まるAZUKI 七の歌詞には、古き良き昭和の世界を想起させる全うさがにじみ出ていてさすが、と唸らせられる。この曲がホームドラマのテーマソングになったのもうなづける。Noraとはやはり“のら猫”のNoraを指すのだろう。こういう[我が輩は猫である]的な良心的な作品、好感度大である。

12.「call my name」
2001年8月8日リリースの8thシングル曲。牧歌的なアコースティック・ギターの音色が美しいイントロを聴いていて、そういえば当時ネオアコースティック・ブームなんてあったなぁ、なんて思い出しながらこの名曲を聴き直すと、もはやブームとは異なる普遍性がその頃から宿っていたのだなぁと納得。なんと言ってもこの曲は歌アタマの一節~Rembrandtから想起させる芸術的香りと日常の幸福な生活感を淡々と表現したAUKI 七の歌詞がすごい。それを物憂げさとはかなさと力強さで聴かせてしまう中村のヴォーカル力が凄い。GARNET CROWの恋愛ソングの中でもピカイチの存在感を放っている。

13.「「さよなら」とたった一言で...」
2005年10月26日発売のベスト・アルバム『Best』Disc2 ラスト・トラックに収録。3rdライヴ・ツアー[GARNET CROW livescope 2005 ~I'm waiting 4 you & live~]で初披露された。“さよなら”という一言をこうも繊細に的確に表現出来る作詞家を僕は見た事が無い。このドラマティックな楽曲にまさにうってつけの詞とメロディ、そしてそこに指し色としてピアニカの音色をぶつけてくる小憎らしいアレンジ。やはり、この4人でなければ出せない音楽がある。

14.「Marionette Fantasia」
2003年11月12日リリースの3rdアルバム『Crystallize ~君という光~』に収録。これもマイナー調の憂いあるナンバー。全編にわたる岡本のアコースティック・ギターの音色がこの楽曲の静謐さを際立たせている。ワルツのリズムに