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VOL.74 1st Album『first soundscope 〜水のない晴れた海へ〜』

music freak magazine Flash Back GARNET CROW 10th MemoriesP.012–013

●○○ From music freak magazine Vol.74

GARNET CROW

1ST ALBUM『first soundscope 〜水のない晴れた海へ〜』
2001.1.31 RELEASE !!

Interview

●アルバムを作るにあたって、何かコンセプトのようなものはありましたか?

中村由利(以下:中村)GARNET CROWのルーツでもある、ネオアコ、アコースティックなものをより強く出したものにしようと意識しました。GARNET CROWの原点を思えるアルバムにしようと。

古井弘人(以下:古井)ネオアコといわれているジャンルをただそのまま焼き直すだけでなく、さらに進化したものにできればと考えましたね。

●1stアルバムなので色々な事を考えていたと思うのですが、実際に出来上がった今の感想は?

中村連続でシングルをリリースしたのと同時に制作を進めていたのですが、限られた時間の中で満足のいく作品になったと思います。最初から最後まで止まらずに聴いてもらえるアルバムになりました。GARNETらしい雰囲気が十分伝わる作品です。

AZUKI 七(以下:AZUKI)あっという間でした。

岡本仁志(以下:岡本)すごい充実感です。

古井良い仕上がりになったと思います。

●アルバム・タイトルの意味は?

中村インディーズ・アルバムのタイトルで "kaleidscope" と出てきますが、それにもひっかけて、音の万華鏡といった意味合いを含め造った言葉です。のぞくと色々な音楽が見えてくる、溢れている。そんな1枚にしたいという想いがこもっています。

●曲はたくさんある中から選んで、レコーディングしていったのでしょうか? それとも、こういう曲を作っていこうとメンバーで話し合いながら進めていったのでしょうか?

古井メンバー間での話し合いはもちろん、数十曲の中から選びました。

中村ある程度、選曲した中からレコーディングを進めていったんです。でき上がっていく段階で全体の曲構成を見て、差し替えていくという感じでした。

●メンバーそれぞれの思い入れのある曲があれば教えて下さい。

中村「巡り来る春に」ですね。一番最後にレコーディングをしたのですが、アルバムの中で一番シンプルにしようとした曲です。音を足してゆくのではなくて、逆に引き算をして必要最低限の音で表現しました。音と音の間にある空間を是非感じてもらいたいです。遠慮なく泣いて下さい…(笑)。

AZUKI「Rhythm」。実は今年の夏にシングルとして発売の予定だったんですが、リリースできなかったので…やっと日の目を見られます。

古井全曲とも大切に作っているので…選ぶのは難しいですね。

岡本「Mysterious Eyes」。GARNET CROWの歴史がある曲なので。

●2001年はアルバムからのスタートでとても好調ですが、今年1年はどのように進めていきたいと思っていますか? また、こんな事をやりたいといったGARNET CROWとしての目標などがあれば教えて下さい。

中村あくまでマイペースで質の高いものを作っていきたいです。

AZUKI今年はシングルにこだわらず、いっぱい作って、夏にはアルバムが出せるくらいにしたいですね。

古井色々考えておりますのでお楽しみに…。

岡本より多くの人に聴いてもらいたいですね。

●レコーディングで印象に残っている事などがあれば教えて下さい。

古井色々なMIX Takeを作ってそれを選び抜き、今のTakeに決めていったので、実は1曲につき何タイプものバージョンが存在するんです。エンジニアの方々の協力なしではできなかったと思います。感謝しています。

●GARNET CROWとしてチャレンジしたなと思う楽曲はどれですか?

中村「Holding you, and swinging」です。GARNET CROWが少しブラック・ミュージック系なものをやると、こんな感じかな、ていう本当にチャレンジしてみた曲ですね。

AZUKI私も同じ、「Holding you, and swinging」。

●リスナーには、この作品がどのように伝われば嬉しいですか?

中村GARNET CROWの持つ、ポップなんだけれど、どこかに憂いやはかなさ、温かさを含んだGARNET CROW独特の "におい" が伝わればいいな。

AZUKI何度も聴ける大切な1枚にしてもらえたら嬉しいですね。

古井思い出に残る1枚に……。

岡本21世紀型ネオ・ネオアコ。


●○○ From music freak magazine Vol.74

Liner Notes

 99年11月、インディーズ・ミニアルバム『first Kaleidscope 〜君の家に着くまでずっと走ってゆく〜』のリリースで活動を開始したGARNET CROW。作詞家として活動していたAZUKI 七(key)、アレンジャーとしてZARD等を手掛けていた古井弘人(key)、スタジオ・ミュージシャンとして活躍していた岡本仁志(G)、そしてこのバンドの全作曲を手掛けるメロディ・メーカー中村由利(Vo)の4人のクリエイター達が結成したグループは、2000年3月には早くも「Mysterious Eyes」と「君の家に着くまで走ってゆく」の2枚のマキシ・シングルでメジャー・デビューを飾っている。そんな彼らが、このほど初めてのフル・アルバム『first soundscope〜水のない晴れた海へ〜』を完成させた。1月31日にリリースされるこのアルバムは、インディーズ時代から現在に至るこの1年間の彼らの活動の集大成だ。現在までにリリースした6枚のシングル曲すべてを含む全12曲は、まさに音の万華鏡のごときGARNET CROWの多彩でオリジナリティ溢れる音楽性を伝えている。そんなGARNET CROWの魅力溢れる全12曲を順を追って説明してみよう。

1.水のない晴れた海へ
アルバム・タイトルの副題ともなっているオープニング・ナンバーは、GARNET CROWの現在を伝える象徴的なナンバー。"水のない晴れた海" というシュールな言葉に潜む文学性、アンビヴァレントな二面性、浪漫、そしてアンニュイを伴った内省的な響きは、GARNET CROWの音楽性の全貌を伝えている。抑制された中村のヴォーカル、無駄のない構成、静謐な世界観を持ちながら熱さを内に秘めた楽曲は、海の女神サイレンを讃えるがごとく神秘的な魅力をたたえている。

2.君の家に着くまでずっと走ってゆく
彼らのインディーズ・ミニアルバムのタイトル・トラックでもあり、またメジャー・デビュー・シングルとしてもリリースされた。インディーズ盤とメジャー盤ではアレンジが異なっていたが、ここではメジャー・デビュー時のMiguel Sa Pessoa &古井弘人バージョンを収録。アコースティック・ギターの澄んだ音色、広がり行くサウンド、爽やかなコーラス、効果的なサックス・ソロと、緻密なアレンジ・ワークが施され、デビュー曲にしてそのクリエイティブ・ワークのクオリティの高さに驚かされる。何気ない日常生活の中でカップルが感じる幸福感を切り取ったAZUKI 七の歌詞は、その細やかで身近な視点が好感度高し。癒し系ナンバーとしてもかなり有効か。

3.夏の幻
2000年10月25日、5thシングルとしてリリース。タイトルに夏が躍っていても、季節外れの秋に「夏の幻」としてリリースするというレトリックが、GARNET CROWらしい。同様に、マイナー調のギター・カッティングから一転、歌の導入部で転調してメジャー調に持っていくというウルトラC級なアレンジは、アレンジャー古井弘人の面目躍如。サウンドやメロディからしても、まさに翻弄される幻のようなナンバー。

4.二人のロケット
インディーズ盤の中にも収録されていた比較的初期の作品。ここではメジャー盤の2000年5月17日、3rdシングルとしてリリースされたアレンジに生ベースと生ドラムを新たに加えたものを収録。素直なメジャー調のメロディの中で、中村のヴォーカルが跳ねている。サビ部分は、いつにも増して高音で歌っているのが印象的。これはもしや2人の関係をロケットに例えた歌詞の影響か? GARNET CROWの "陽" の部分を代表する力強いナンバー。

5.巡り来る春に
前曲とは一転して、ドラマティック&ダークな曲調のナンバーは、GARNET CROWの "陰" の魅力を堪能できる。こういったタイプのナンバーでは、中村の憂いあるミドル・ヴォイスの魅力全開。刹那な感情を表現するには、彼女の独特な声質は打って付けだ。AZUKI 七の文学的表現力を伴ったペシミスティックな世界観の歌詞もじっくり読んで味わいたい。是非、瞳を閉じて聴いてみて欲しい。

6.HAPPY DAYS?
イントロの憂いを残した導入部から、それを跳ねのけてリズミカルなビートに変化するその独特な持ち込み方に、またしてやられる。この中庸な感じ? どマイナーでもどメジャー調とも言い切れないような危うい曲構成、それでいて定石を踏んでいるサウンド構築法はまさに職人芸の成せる技。こういったキメ細かいアレンジや展開に幸福感を見い出すようになると、あなたも既にGARNET CROWの音楽の虜。どっちに転ぶか分からない、やきもきするような歌の展開の魅力についていこう。

7.Mysterious Eyes
2000年3月29日、メジャー・デビュー・シングルとして2枚同時リリースされた内の1曲。軽快なリズム・トラックにからむ中村の澄んだ歌声が初々しい。それにしても、メジャー・デビュー曲にして既に迷いがないこのゴージャスなトラックとアレンジ・フィール! いかに彼らが音楽的なクリエイター集団として、このグループを始めたかを伺わせる。ガーネット色の神秘的な目を持ったカラスはこの時から、一体何を見つめていたのだろうか。

8.Rhythm
デジタルな打ち込みのリズム・トラックとアコースティックなサウンドを融合させるのを得意としている彼らだが、この曲はそんなサウンド・テクニックをよく表している。ここでは細やかなパッセージのリズム・トラックに中村のヴォーカルが気持ち良く乗り、そのバックにエレアコと生ピアノのアクセントが程よく鳴らされ、フックでシンセが顔を覗かせる。凝ったアレンジを最後まで変化に富ませながら自然に聞き流させていく、その手法が溢れている。こういった手の込んだ佳曲がアルバム曲として散りばめられ得るところが、GARNET CROWの強みとなっていくだろう。

9.Holding you, and swinging
再び叙情的なミディアム・ナンバー。ここでは、バック・サウンドは中村のヴォーカルを慈しみ、包み込むようなシンプルなアレンジに徹している。しかし、この曲中で聴かれる中村のファルセットはたまらない。寂寥感をたっぷり含み、そして絶妙なコーラス・ワークに支えられたその歌声は、GARNET CROWの貴重な財産だ。派手な演出のある楽曲ではないけれど、段々と心に染み込んで忘れられなくなる、情緒たっぷりのナンバー。

10.flying
2000年11月29日、6thシングルとしてリリース。3カ月連続シングル・リリースの最終作となるこの作品は、重々しいイントロで始まるが、曲が進むに連れてどんどん音世界が広がり、軽くなって、まるで空に羽ばたく鳥のような気分を味合わせてくれる。まさにサウンド・マジック! また歌詞の世界も微妙で、無条件で明るいわけではないのに、絶望していない。残されている希望に向かう姿勢に共感できる人にはかけがえなく響く魅力を秘めている。決して押し付けがましくないサウンド、歌詞、歌声の感触、これもまたGARNET CROWの1つの持ち味と言えるのかもしれない。

11.千以上の言葉を並べても...
2000年9月27日、4thシングルとしてリリースされたナンバー。イントロのシンセの音色からして心を穏やかにさせるこの曲だが、内容的には避けられない男女の別れをモチーフにした決してハッピー・エンドではない曲。しかし、その別れの風景を切なさを残しながら、爽やかな希望へと昇華させる、その絶妙な手腕はGARNET CROWならでは。中村のふくよかなヴォーカル、リリカルなバック・トラック、そのどれもがこの微妙な心情の立役者でもある。千以上の言葉を並べても言い尽くせない事もある。まさしくその通り! 別れた男女へのレクイエムとしてこれほど最適な曲もない。

12.wonder land
アルバムのエンディングを飾るナンバーは、再び軽快なテイスト。80'sの洋楽ポップ・ソングを彷彿とさせるしっかりとしたバック・トラックと、メロディ・ラインにアシッド・ジャズ的なモダンなアプローチをまぶしている。そんな軽めのナンバーは、めくるめく音のカレイドスコープの最後にはお似合いか? このアルバムを聴き終えた後に、きっと、そっとGARNET CROWの音楽が体の一部に溶け込んでいる。その小さな幸福感がとても心地良い。

GARNET CROW
1st Album

『first soundscope 〜水のない晴れた海へ〜』

1.31 Release

GIZA studio GZCA-1061

¥3,059(tax.in)